英日対訳ミュージシャンの本

ミュージシャンの書いた本を英日対訳で見てゆきます。

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第17回

第17回:音楽用語集各説明文中の斜字体の語についても各々チェックしてください。 

 

アクセント 

音符、拍を、強く際立たせること(第1章参照) 

 

後打ち 

4拍子の、2・4拍目にアクセントをつけること。最近の歌謡曲の多くによく見られる(第1章参照)。 

 

縦棒 

「小節」のニックネーム(第1章参照) 

 

 

鼓動(第1章参照) 

 

ブルース形式 

12小節単位のジャズ形式の一つ。コード、ハーモニーに特徴的なパターンがある。ブルースの、一つ一つのコーラスを見てゆくと、まず、最初の四小節間は、その曲の調の1の和音だけ。中間の四小節間は、4の和音が二小節間と、再度、1の和音が二小節間。残りの四小節間は、5の和音が一小節、4の和音が一小節、最後に1の和音が二小節間(第2章参照)。 

 

ブレイク 

全体合奏が止んで、一人の奏者がソロを弾くこと(第3章参照)。 

 

ブリッジ 

二つの部分の間に入って、それらのつなぎとなる部分。普通は、前後の部分とは異なるメロディ、それも前後とは異なる調によるもの、を持っている。16小節形式、あるいは32小節形式のジャズの曲で、AABA形式の作品は、Bがブリッジになる(第2章参照)。 

 

分散和音 

和音を構成する音が同時にではなくバラバラと一つずつ鳴ってくるもの(第2章参照)。 

 

カデンス 

リズムパターンの一種。大抵は太鼓が弾く(第3章参照)。 

 

コールアンドレスポンス 

会話」を音楽演奏で行うことある奏者の呼びかけに別の奏者応答する第2章第3章参照)。 

 

コード 

三つないしそれ以上音を同時に鳴らすこと第2章参照)。 

 

コーラス 

楽曲あるいはブルース16小節形式32小節形式といったジャズの形式において演奏の一区切りのことジャズの作品ではコーラスは複数回数連続して交互に演奏される第2章参照 

 

集団でのインプロバイゼーション 

メンバー全員が一斉にインプロバイズすることジャズの典型的な特徴の一つ第3章参照)。 

 

コンプする 

ジャズにおける伴奏するのこと第1章参照)。 

 

協和音 

互いにぶつかり合わず濁らない音符演奏要素 

 

対旋律 

主旋律と一緒に機能するが、性格が異なるメロディ(第3章参照) 

 

不協和音 

二つ、ないしそれ以上の音符、音、コード、音色がぶつかり合うこと(第2章参照)。 

 

頭拍 

小節の最初の拍(第1章参照) 

 

全体合奏 

奏者全員が一斉に演奏すること。 

 

形式 

音楽的な手法が様々にパターン化されて構成されている方法、仕組み(第2章参照)。 

 

グルーヴ 

複数のリズムが、同時に演奏されること(第3章参照) 

 

基本リズム 

リズム、と言う名の「肉体労働者達」によって演奏される拍、鼓動の、基本的な構成(第1章参照)。 

 

ハーモニー 

複数の音を一斉に鳴らして出てくる音(第2章参照)。「コード」「三和音」も参照。 

 

インプロバイズする 

演奏中、その瞬間ごとに音楽を創り出してゆくこと。普通は、作曲した人が使用した主題、あるいは形式から、部分的に材料を採って演奏することで行う(第3章参照)。 

 

調 

関連性のある音符、音が、中心となる音を軸に巡るという、音の組成(第2章参照)。 

 

行進曲 

音楽作品の一種で、これに合わせて行進が行われる。吹奏楽によって演奏され、作曲者が譜面を起こし、偶数拍であることが大勢(第3章参照)。 

 

小節 

二つ、ないしそれ以上の数の拍を含むリズムの組み合わせ単位。基本リズムが構成される仕組み(第1章参照) 

 

メロディ 

節回し、音符が連続しているもの(第1章参照)。 

 

拍子 

音楽作品において、拍・アクセント・休符の構成の仕方 

 

音符 

音楽面で、音を表すもの。 

 

裏拍 

小節の中で、数で呼ばれる拍と拍の間の、間の部分。大抵は「1と、2と、3と、4と」と勘定される中、「と」の部分のこと(第1章参照)。 

 

器楽合奏用の 

主題や音楽の指示を、様々な楽器へと振り分けてゆくこと(第2章参照)。 

 

ピッチ 

音楽面での、音の高低。 

 

ポリフォニー 

複数のメロディが一斉に演奏されること(第2章参照)。 

 

ラグ 

ラグタイムの形式で作られた曲。 

 

ラギング 

行進曲、舞踏曲のメロディとリズムに、シンコペーションなどの変化をつけること。ラグタイムの形式を持つ作品に見られるように、予め楽譜に書くこともあれば、初期のニューオーリンズジャズの演奏に見られるように、インプロバイズすることで行うこともある(第3章参照)。 

 

ラグタイム 

シンコペーション等のラギングの変化が持つ効果を採り入れた、アメリカ生まれの作曲スタイル(第3章)。 

 

音域 

歌声や楽器が出せる音の範囲(第3章参照)。音域の呼び名で一番よく知られているのは、高い方から順に、ソプラノ、アルト、テナー、バリトン、一番低いのがバス。 

 

休符 

楽器、あるいは合奏体が、演奏音を出さない、「間」(ま)の部分(第1章)。 

 

リズム 

一定の法則性を持つ音の動き方。音楽の最も基本となる要素(第1章参照)。 

 

リフ 

ジャズの演奏において、繰り返されるフレーズのこと(第2章、第3章参照)。 

 

ソナタ形式 

クラシック音楽の形式の一つで、三部形式であり、規模は大きめ。最初の部分は「主題提示部」といって、ここでは、メロディとリズムの「登場人物達」が全て紹介される。音楽の進行は、最初の調(それに乗って演奏される主題群)から次の調(それに乗って演奏される、その他の主題群)へと進む。二番目の部分は「展開部」とって、曲がヒートアップしてくることに合わせて、全ての主題が放り投げられ、ひっくり返され、ひねられることで、様々な形と調へと変えられてゆく。三番目は「再現部」。「主題提示部」に登場した主題群へと戻ってゆくものの、最初の部分の時のように調の変化はなく、「最初の調」で、すべて演奏される(第2章参照)。 

 

ソウル(魂) 

聴衆に喜んでもらおうと、心の温かさと表情の豊かさをつけて演奏すること(第1章参照)。 

 

フレーズの区切り 

行進曲、ラグの中に在る部分の一つのことで、大抵は16若しくは32小節の長さを持つ(第3章参照)。曲の中央部にあるフレーズの区切りひとつ、あるいは二つのことを、大抵は「トリオ」という。 

 

スウィング 

ジャズの根本となる基本リズム。通常、ベースが「さっそうと歩き」、シンバルが「スイスイと走行する」ことで表現される(第1章参照)。 

 

シンコペーション 

不意打ち、通常、リズムの面での不意打ち。例えば「え?!」と思わせるような所にアクセントをつけること(第1章参照)。 

 

テールゲート 

トロンボーンがジャズを演奏する時の奏法の一つで、音を滑らせることを際立たせる(第3章参照)。 

 

テンポ 

リズムの速さ(速い、とか、遅い、とかいう)(第1章参照) 

 

変奏曲 

旋律にしろ、リズムにしろ、伴奏にしろ、大元の形を変えることなく、演奏を繰り返してゆくたびに、何かしらの変化が加えられてゆくこと(第2章参照)。 

 

32小節形式 

楽曲形式の一つで、32小節を、四つの部分に、均等に八小節ずつ分けたもの。最初と、二つ目と、そして最後の部分は、普通は内容が似たようなものとなっていて、「A」の記号が付けられる。三つ目(ブリッジ)は、何かしら他の三つとは異なる旋律が含まれていて、「B」とも言われる。そんな訳で、この形式は、別名AABA形式とも言われる(第2章参照)。 

 

三和音 

ある調の音階から、三つを、一つ飛ばしに連続して集めてコードにしたもの。例えば「ド-ミ-ソ」の和音。「三和音」は、その調の2や3、4・・・に合わせて、記号がふられる。ハ調の場合、「ド-ミ-ソ」は1の和音、「レ-ファ-ラ」は2の和音、「ファ-ラ-ド」は4、「ソ-シ-レ」は5、となる。 

 

トリオ 

行進曲、ラグの真ん中になる部分、あるいはフレーズの区切りのことで、通常、その曲のメインとなる調とは異なる調で演奏される(第3章参照)。 

 

 

 

テンポおよび表現記号 

 

音楽用語の中でも、テンポ、あるいは雰囲気に関するものや、その音符の奏法についての指示を表したものを、いくつか紹介します。 

 

accelerandoアチェルランド:スピードを上げてゆく 

adagioアダージョ:ゆっくり 

alla marciaアラ・マルチア:行進曲のテンポで 

allegroアレグロ:速く 

andanteアンダンテ:速過ぎず 

balzandoバルツァンド:弾むように 

col legnoコル・レーニョ:弦楽器を、弓の背(木の部分)で弾く 

crescendoクレッシェンド:大きな音にしてゆく 

decrescendoデクレッシェンド:小さな音にしてゆく 

forteフォルテ:大きく 

largoラルゴ:うんとゆっくり 

lentoレント:ゆっくり 

menoメノ:(マイナス方向に)やや~気味に 

moderatoモデラート:程よく速さを感じて 

moltoモルト:思いっきり 

molto pianoモルトピアノ:小さく(音量) 

piuピウ:もっと更に 

pizzicatoピチカート:弦楽器を、指で弦を弾いて弾く 

pocoポコ:少々 

precipitandoプレチピタンド:突進してゆくように 

prestoプレスト:うんと速く 

ritardandoリタルダンド:スピードを落としてゆく 

saltandoサルタンド:ジャンプする 

sforzandoスフォルツァンド:鋭くアクセントをつける 

sollecitandoソレチタンド:くすぐるように 

sospirandoソスピランド:ため息をつくように 

sussurandoスッスランド:囁くように 

tuttiテュティ:全員 

vivaceヴィヴァーチェ:生き生きと 

volanteヴォランテ:飛ぶように 

 

 

次回、第18回(最終回)は、本書の後書き部分の訳をつけます