「コープランド・オン・ミュージック」を読む

Doubleday & Company社の「コープランド・オン・ミュージック」を、原文と日本語訳の両方を見てゆきます。

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第4回

第4回:第1章38ページから 

 

(38ページ) 

 

基本リズム 

 

ここまで、音符が踊る、とか、ステップを踏む、とか、そんなようなことを見てきたね。実際「くるみ割り人形組曲は、バレエだ。つまりこの曲に合わせて人が踊るってこと。よく「このビートは踊っちゃうよ」とか「このビートイイね」なんて聞くよね。でも、ここで言う「ビート」って何のことだろう?今まで見てきた、拍子に乗って、踊り、スキップしているリズムのことではない。あれは、ビートが沢山集まったものだ。「このビート」とは、「基本リズム」のことだ。音楽の肉体労働者、仕事は辛く安月給。道路の路面みたいに、人々は毎日そこを歩いているのに、気にも止められない。 

(語句・文法事項:数字は行数) 

13.We've been talking about notes dancing or stepping私達は音符が踊るとかステップを踏むとかいう話をずっとしてきている:現在完了進行形(We've been talking) 現在分詞(notes dancing or stepping) 15.It was written for people to dance toそれに合わせて踊る人々のためにその曲は書かれた:不定詞(for people to dance to) 16.Many time we may hear someone say that何度も私達は誰かがこう言うのを聞くかもしれない:知覚動詞+O+原型不定詞(hear someone say) 21.That beat is what we call the ground rhythmそのビートはいわゆる基本リズムだ:関係詞(what we call) 

 

しかし基本リズムは、どちらにしても、それだけでは退屈なものだ。パンも、トマトも、マヨネーズも、レタスも、あのヨレヨレのピクルスだってちゃんとあるのに、ハンバーグが挟まっていないハンバーガーみたいだ。「くるみ割り人形組曲の「金平糖の踊り」。これの基本リズムだけを演奏しても、すぐに飽きてしまうだろう。楽譜にかかれた見た目からして、既に面白くも何ともないしね(楽譜3、CD10曲目)。 

(語句・文法:数字は行数) 

28.It is like getting a hamburger bun with tomatoトマトの挟まっているハンバーガーのバンズを食べることに似ている:動名詞(getting) [p.39,4]it won't keep us interested for very longそれは私達をさほど長くは興味を持たせることはない:keep+O+過去分詞(keep us interested) 5.The ground rhythm even looks boring written out on the page itself基本リズムはこのページに書かれている状態で既につまらなそうに見える:分詞構文(written out on the page itself) 

 

逆に、基本リズムなしで「金平糖の踊り」を演奏したら、パンも、ケチャップも、マヨネーズも、あるいはトマトも、当然、ヨレヨレのピクルスもない、ハンバーグだけ食べてるみたいだ(CD11曲目)。 

 

基本リズムは、曲の拍子感を作り、それは聴き手の感じ方も変えてしまう。自分の心臓の音を確認するは、じっと耳を澄ませるよね。それと同じように、曲の基本リズムを聴く時も、じっと耳を澄まそう。例えば、「金平糖の踊り」には、二つの異なる基本リズムがある。これが交互に代わる度に、曲の雰囲気も変わる。曲全体を通して、基本リズムの変化は、音楽の雰囲気を変化させるんだ(CD12曲目)。 

(語句・文法:数字は行数) 

12.they change the way you feel itそれらは君がそれを感じる方法を変える:関係詞・省略(the way [that] you feel) 

 

(40ページ) 

リズムと言えば、真っ先に頭に浮かぶのは太鼓だ。大抵リズムだけ。メロディなんか弾かないから、というところかな。管弦楽では、太鼓は打楽器セクションにいて、軍楽隊が演奏するようなマーチみたいな曲でもない限り、太鼓も、シンバルも、他の打楽器も、リズムを刻み続けるのではなく、飾りつけ、色付けに使われる。 

(語句・文法:数字は行数) 

1.the first instrument that comes to mind is the drum頭に浮かぶ最初の楽器は太鼓だ:関係詞(that comes) 5.unless we're playing military music,私達が軍楽隊の音楽を演奏しようとするのでないなら:近未来の時制(we're playing) 6.the drums - cymbals and percussion - are generally used not to carry a beat, but only for coloration and flavor太鼓、つまりシンバルと打楽器は、拍を刻み続けるために使われるのではなく、飾りつけと色付けのために使われる:不定詞(to carry) AではなくB(not to carry but for ) 

 

ジャズバンドの太鼓は、様々な大きさの太鼓と、色々な種類のシンバルを、文字通り組み合わせたものだ。ドラムセットが主役となる、いわゆるリズムセクション、ここにはピアノとベースも含まれる。この三つは、列車でいうと、エンジン、車輪、車体のように、ジャズバンド全体を、押して、こいで、引いて、動かすものなんだ。 

(語句・文法:数字は行数) 

11.The drum set is the centerpiece of what we call the rhythm section, which includes the piano and the bassドラムセットは、所謂リズムセクションの中心楽器だ。リズムセクションとは、ピアノとベースを含むものだ:関係詞・慣用句(what we call) 関係詞・非制限用法(the rhythm section, which includes) 

 

(41ページ) 

ジャズバンドの太鼓は列車のエンジンの様なものだ。ドラムセットはバンドに推進力を与えて、ドラム奏者は、たった一人で、全部の楽器をドラムセットの元でまとめあげて、そして全体の基本リズムを彼らに対して伝えるんだ。 

(語句・文法:数字は行数) 

4.The drum set is used to power the bandドラムセットはバンドに力を与えるために使われる:不定詞(to power) 7.to interpret the whole ground rhythm by himself彼一人の力で全体の基本リズムを伝えるために:不定詞(to interpret) 

 

管弦楽では、シンバルは、色付けや、それから聴衆をびっくりさせるために使われる。ジャズバンドでも色付けに使われることはあるけれど、大半はちゃんと「演奏」される。リズムと動作:飛んだり、跳ねたり、ジャンプしたり、スキップしたり、これらを例えて話してきたよね。ジャズバンドのドラム奏者は、シンバルを「スイスイ走らせる」:ティン・ティンティ・ティン・ティンティ・ティンってね。時々思いっ切りひっぱたいて、音を強調したり、あるいは他のプレーヤーたちをハッとさせるんだ(CD13曲目)。 

(語句・文法:数字は行数) 

17.Only now and then will he crash the cymbal時々彼はシンバルを思い切り叩く:強調表現(Only now and then will) 

 

ベースは列車の車輪の様な役割をもつ。列車は全体が車輪の上に乗っている。同じように、音楽全体がベースに支えられているんだ。ベースとドラムスの関係は、列車の車輪とエンジンの関係と同じ。列車はエンジンから推進力を得て、車輪に乗って走ってゆく、ってわけだ。 

(語句・文法:数字は行数) 

23.The bass and the drums work together the way the wheels of the train work with the engineベースとドラムスは、列車の車輪がエンジンと作用する方法で、共同作業をする:関係詞・省略(the way [that] the wheels)  

 

(42ページ) 

ベースはひたすらベースを「歩かせる」。ドゥン・ドゥン・ドゥン・ドゥンディ・ドゥンといった具合にね。人が颯爽と歩く感じがするね(CD14曲目)。 

(語句・文法:数字は行数) 

4.it has the feeling of someone walking or struttingそれは人が歩く、あるいは気取って歩く、といった感じを持つ:現在分詞(someone walking or strutting) 

 

ベースとドラムスは、途切れることがほとんどなく演奏し続ける。リズム感を創り出して、バンド全体がその中で演奏するんだ。高い音のするシンバルと、低い音のするベース。この二つが、バンドが演奏する音の範囲(音域)の上限と下限を決めることになる。 

(語句・文法:数字は行数) 

8.The high-pitched cymbal and the low bass also mark off the limits of high and low tones within which the band plays音域の高いシンバルと音域の低いベースは、また、バンド全体が演奏する音の高さと低さの制限を印す:前置詞+関係詞(within which) 

 

ドラム奏者が高い音のするシンバルをスイスイ走らせ、ベース奏者が低い音のするベースを歩かせる時、これを「スウィングする」と言う。これこそジャズバンドの真骨頂。スウィングは、ジャズ音楽の基本リズムだ。スウィングの出来の良さは、ドラム奏者とベース奏者の協調性、別の言い方をすると、「シンクロする」具合がどんなものか、そしてこの二人の奏者が持つ気迫の強さ、で決まる。 

(語句・文法:数字は行数) 

13.And that is what the jazz bands doesそしてこれがジャズバンドがすることだ:関係詞(what the jazz) 17.the type of verve with which they play彼らが持って演奏する気迫のタイプ:前置詞を伴う関係詞(with which they) 

 

さて、ここでピアノを加えよう。ピアノは列車の車体のようなものだ。列車に形を与えるものだね。そして、ピアノは伴奏する。あるいは、ジャズミュージシャンなら「コンプする」と言う。ピアノはリズムをインプロバイズする。ドラムとベースの上にバッチリハマるようにね。警笛みたいにね(CD15曲目)。 

(語句・文法:数字は行数) 

18.we add the piano, which is like the body of the train私達はピアノを加える。ピアノは列車の車体の様なものだ:関係詞・非制限用法(piano, which is) 24.Something like blowing the train whistle列車の警笛を鳴らすようなこと:動名詞(blowing whistle) 

 

(44ページ) 

あるいはベースとドラムの(上ではなく)内側にハマるよう、ピアノはリズムを演奏し、エンジンであるドラムスをパワーアップし、その力で列車であるバンドを前へと進める。車体があるから列車の見栄えが良くなるのと同じで、ピアノがリズムセクションの印象を良くするんだ。デューク・エリントンの「ボルガ・ボゥティ」と言う曲では、リズムセクションが情熱をもってバンドを前と進めてゆく(CD16曲目)。 

(語句・文法:数字は行数) 

1.Or the pianist can play rhythms that fit inside the bass and drums, boosting the engine's power and propelling the train with added fireあるいはピアニストはベースとドラムの内側にハマるリズムを演奏することができる。そして追加された火を使ってエンジンの力を増し列車を推進させる:関係詞(rhythms that fit) 分詞構文(boosting and propelling) 過去分詞(added fire) 3.The body makes train look good車体は列車を良く見せる:使役動詞+O+原型不定詞(makes train look) 

 

リズムの演奏に欠かせないもの、それは情熱。情熱とソウル(魂)だ。ソウル、とは、ミュージシャンは聴く人が最高の気分になるよう演奏するべきだ、ということだ。人に褒め言葉や励ましの言葉をかけたり、的確で真心を込めた助言をするようなものだ。さて、ここまでずっと、リズムの技術的なことを見てきたけれど、実はリズムの演奏には、スポーツの試合で頑張るのと同じ気持ちが必要なんだ。ゆっくりな曲や悲しい曲をを演奏する時であっても、リズムは歯切れの良さを失わず、気持ちを充実させて演奏しなくてはいけない。チャイコフスキーの「葦笛の踊り」とエリントンの編曲版では、二つの形式は違っているけれど、プレーヤーがリズムを情熱をもってソウルフルに聴き手に訴えかけなくてはいけないのは、どちらも同じだ(CD17・18曲目)。 

(語句・文法:数字は行数) 

9.Soul means that the musicians play with a warmth and expressiveness intended to make listeners feel as good as possibleソウル(魂)とはミュージシャンが聴き手をできるだけ気分良く感じさせることを意図された心の温かさと豊かな表現をもって演奏するということを意味する:過去分詞(intended to) 使役動詞+O+原型不定詞(to make listeners feel) 13.we've talked about technical aspects of rhythm私達はリズムの技術的な側面についてずっと話してきている:現在完了(we've talked) 20.both require the musicians to interpret the rhythm with intensity and soulどちらもミュージシャン達に情熱とソウルをもってリズムを伝えることを要求する:不定詞(to interpret) 

 

(47ページ) 

 

デューク・エリントン 

エドワード・ケネディ・エリントン、通称デューク。20世紀の作曲家の中では、作品の数も形式の多様性も、群を抜いていました。その業績は音楽史に燦然と輝き、55年間、作曲家として活躍し続けたその極め付きが、1964年の「極東組曲」、1970年の「ニューオーリンズ組曲」、そして1957年の「サッチ・スウィート・サンダー」という後期の代表作品です。 

(語句・文法:数字は行数) 

1.EDWARD KENNEDY ELLINGTON, known as Dukeエドワード・ケネディ・エリントン、それはデュークとして知られている:過去分詞・非制限用法(ELLINGTON, known) 6.culminating in his late masterpieces彼の晩年の傑作に頂点が来て:分詞構文(culminating)  

 

エリントンは1899年4月29日、ワシントンD. C.で生まれました。当時のアメリカ大統領は、ウィリアム・マッキンリーでした。両親は二人ともピアノを弾いて、エリントン自身も小さい頃ピアノを習い始めました。少年時代に興味を持っていたのは、音楽、そして絵を描くことと、スポーツ(野球仲間の一人が(10代の、同じ少年です)、キリスト教の洗礼を施してあげて、デュークと命名してくれました。エリントンは、この名前をニックネームとして生涯大切にしました)。しかしデューク・エリントンは、高校を卒業する前から、既にワシントン中のパーティーやクラブのダンスバンドで、ピアノを弾いて評判をとり始めていたのです。 

(語句・文法:数字は行数) 

9.on April 29, 1899, when William McKinley was president1899年に、その時ウィリアム・マッキンリーが大統領だった:関係詞・非制限用法(1899, when) 12.Duke, the nickname he carried for the rest of his lifeデュークという、彼が生涯持ったあだ名:同格(Duke, the nickname) 関係詞・省略(nickname [that] he carried) 14.Duke Ellington had begun to win acclaim playing the pianoデューク・エリントンはピアノを弾いて喝采を得始めていた:過去完了(had begun) 不定詞(to win) 分詞構文(playing the piano)  

 

1923年までには、デュークはニューヨーク市へ居を移し、自身のバンド「ワシントニアンズ」を結成、「ケンタッキークラブ」でレギュラー出演をするようになっていました。1927年から1932年までの5年間、デュークと彼のバンドは、人数も5人から10人に拡大し、ハーレムの、名門「コットンクラブ」での出演に抜擢されました。その頃までに、レコードを量産しベストセラーに。当時のレコードは片面3分間の録音が可能でした。1930年発表の「ムード・インディゴ」は、世界中でヒットする作品となったのです。 

(語句・文法:数字は行数) 

17.he had moved to New York City and had his own band, the Washingtonians, which played regularly at the Kentucky Club彼はニューヨークへ移り彼自身のバンドであるワシントニアンズを結成した。そのバンドはケンタッキークラブで定期的に演奏した:過去完了(had moved and had) 関係詞・非制限用法(the Washingtonians, which played) 19.Ellington and his band, which grew from five musicians to tenエリントンと彼のバンド、それは5人のミュージシャンから10人に増えていて:関係詞・非制限用法(his band, which grew) 20.they had also made many best-selling records彼らはまたすでに多くのベストセラーレコードを作っていた:過去完了(had made) 

1939年、デュークは、ピッツバーグ出身の、ピアニストで作曲家の、ビリー・ストレイホーン(1915-1967)と出会います。後にアシスタントピアニスト、アレンジャーとしてデュークの片腕となってゆきます。200以上のエリントン楽団の作品の、作曲・補作を手掛け、その中には、楽団のテーマ曲「A列車で行こう」(1941年)もあります。 

(語句・文法:数字は行数) 

23.a young piano player and composer from Pittsburgh named Billy Strayhorn (1915-1967), who became the band's assistant pianist and arrangerビリー・ストレイホーンという名のピッツバーグ出身の若いピアノ奏者で作曲家、その人はバンドのピアニストと編曲家になった:過去分詞(named Billy) 関係詞・非制限用法(Strayhorn, who became) 

 

(48ページ) 

 

シンコペーション 

最後に、リズム感を出して演奏する、最高の方法の一つを見てみよう。シンコペーションという。うんと簡単に言うと、「予想外のことをする」ってことかな。例えば、君がかぶっている帽子のつばを、横向きにしたとする。これが、言うなればシンコペーションのかかった帽子、というわけだ。シンコペーションというのは、音楽のフレーズの雰囲気を変えることができる。これは丁度、文中の語句の一部を抜いたりするようなものだ。スポーツ番組のアナウンサーが言いそうなセリフ「さぁ、ボールを捕った!現在5ヤードから10、15、25、30、35、40、45、50ヤード、走る走る、タッチダウンか・・・あぁっと転んだ!鼻を折った模様です!」これがシンコペーション。予想外の展開、というやつだ。 

(語句・文法:数字は行数) 

1.one of the best ways to play with rhythmリズム感をもって演奏する最高の方法の一つ:不定詞(to play) 3.the loosest definition of syncopation would be doing the unexpected最も大雑把なシンコペーションの定義は予想外のことをすることとなるだろう:仮定法(would be) 動名詞(doing) 過去分詞(the unexpected)  

 

語句の省略を行うと、リズムの変化がついて、聴き手の注意を引きつけ、気分も元気になる。さて、これを音楽でやるとどうなるか。その瞬間に演奏されているリズムパターンに、わざと反するようなことをするんだ。拍や休符にメリハリをつけると、拍子ができる、という話を思い出そう。他の人達が1,2,3,4というリズム感で行進しているところへ、君が出てきて、1,2,3と行進する。これがシンコペーションってところかな。それまで誰もアクセントをつけていなかった拍にアクセントをつけるのだから、それこそ、予想外の展開、というやつだ。 

(語句・文法:数字は行数) 

15.By purposefully going against an established rhythmic pattern意図的にすでに作られているリズムパターンに背いて進むこと:動名詞(going) 過去分詞(established) 21.that would be a syncopationそれはシンコペーションかもしれない:仮定法(would be) 16.no one has accented誰もアクセントをつけていない:現在完了(has accented)  

チャイコフスキーは「金平糖の踊り」の基本リズムに、シンコペーションを用いている。ある拍にアクセントがついて曲が始まり、やがてアクセントの位置が変わる。まず1拍目にアクセント、そして次に2拍目の裏にアクセント、と言う風に変化する。拍の裏を強調するのがシンコペーションで、それが不規則に繰り返される。だから二重にシンコペーションがかかっている、と言えるかもしれないね(CD19曲目)。 

(語句・文法:数字は行数) 

24.it's what we would call twice syncopatedそれは二重のシンコペーションと言うべきものかもしれない:関係詞・慣用句/仮定法過去(what we would call) 

 

(49ページ) 

 

実は、「くるみ割り人形組曲の、デューク・エリントン版それ自体が、原曲のシンコペーションなんだ。原曲を知っていれば、編曲版は、ひたすら予想外のことの繰り返しだもんね。例えば、チャイコフスキーの「序曲」では、アクセントは1・3拍目にある。エリントン版では、同じ主題がトロンボーンで2・4拍目にアクセントつけて演奏される。これは「後打ち」と言うんだ(譜例5)。「後打ち」は、今聞かれるポピュラー音楽のほとんどに用いられている(CD20、21曲目)。 

(語句・文法:数字は行数) 

11.The accents are now on beats two and four, which is known as the back beat今度はアクセントは2・4拍目につけられる、そしてこれは後打ちとして知られている:関係詞・非制限用法(, which is) 13.Almost all the popular music we hear today今日私達が耳にするほとんどすべてのポピュラー音楽:関係詞・省略(music [that] we hear) 

 

「序曲」のエリントン版では、メロディのリズムは、他にも拍の裏の部分に、各楽器とも音を入れてアクセントがつけられている。 

 

リズムにシンコペーションをつける方法は沢山あるけれど、大抵、聴く人の心を意外性でつかんで、楽しい気分にさせてくれる。 

(50ページ) 

 

さぁ、リズムについてのまとめだ。頭に入れておこう。 

 

1.音楽の「顔」はメロディだけれど、メロディはリズムなしでは成り立たない。 

2.拍と休符にメリハリをつけて、奇数あるいは偶数の「拍子感」を出してゆく。 

3.拍子は小節線で区切られていて、リズムの動き - 踊る、弾む、スキップする、飛ぶ、くすぐる、など - をきちんと並べて構成してゆく。 

4.テンポ、とは、「速く」「ゆっくり」「少しだけ速く」など 

5.アクセントの位置や間の取り方を変化させることで、リズムを出す。バスケットボールのドリブルのように。 

6.基本リズムは、大変な割には報われない。しかし、音楽に活力を与えて、盛り上げてゆくためには、なくてはならないものだ。 

7.ベース、ドラムス、ピアノ、彼ら「リズムセクション」は、スウィングするのが仕事だ。 

8.リズムは、どんな時でも、情熱とソウルをもって演奏されるべきものだ。 

9.シンコペーションは、予想外の音にアクセントを置いて演奏するやり方だ。 

10.そして、動きがなければリズムが出ないし、音楽にならない。リズムは音楽の基本だ。 

 

頭に入ったかい?では、その確認をしよう。チャイコフスキーの「くるみ割り人形組曲の、「小さな序曲」と、そのジャズ編曲版、勿論、デューク・エリントンとビリー・ストレイホーンが作ったもの。これらを聴いてみよう。まぁ、一つも思い出せなくても、このスウィング感たっぷりの名曲を聴いて、楽しんでほしい。

 

次回 第5回は、第2章の前半を見てゆきます。