英日対訳ミュージシャンの本

ミュージシャンの書いた本を英日対訳で見てゆきます。

2019-01-01から1年間の記事一覧

ウィントン・マルサリス「マルサリス・オン・ミュージック」日本語全訳

For all those who continue the struggle to educate youngsters in music. 音楽で若い人達を育むことに、日々奮闘し続ける全ての人のために MARSALIS ON MUSIC W.W.Norton & Company 第1章 思わず足踏みをするのはなぜだろう:リズムについて(19ページ) …

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第18回

第18回:あとがき この本は、「マルサリス・オン・ミュージック」(ソニークラシカルフィルム&ビデオ)というテレビ番組のシリーズを基に作られました。この企画にご尽力くださいました、ソニークラシカルの皆様に感謝申し上げます。特に、ピーター・ゲルプ…

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第17回

第17回:音楽用語集:各説明文中の斜字体の語についても、各々チェックしてください。 アクセント 音符、拍を、強く際立たせること(第1章参照) 後打ち 4拍子の、2・4拍目にアクセントをつけること。最近の歌謡曲の多くによく見られる(第1章参照)。 縦棒 …

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第16回 楽譜に起こすこととインプロバイズすることの違い

第16回:譜面通りに演奏するよう楽譜を作ること、そして、インプロバイズすること (158ージ) 「クラシック音楽は、作曲者が譜面に書いたとおりに演奏される。ジャズ音楽は、演奏者がインプロバイズ、つまり、演奏しながら曲を作ってゆく」こんな風に思って…

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第15回

第15回:鑑賞の手引き (152ページ) 第3章:スーザからサッチモへ:吹奏楽とジャズバンド ジョン・フィリップ・スーザの行進曲作品 95ページからの続き 1892年、スーザは海兵隊を退役しました。自身の吹奏楽団設立のためです。それから40年間、1932年3月6日…

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第14回

第14回:鑑賞の手引き (146ページ) 第2章:聴きどころをのがさずに:形式について 古典交響曲 セルゲイ・プロコフィエフ作曲 71ページからの続き そしてプロコフィエフは、作曲と演奏旅行の両方の生活が始まったのです。その第一歩に選んだのが、初めての…

「マルサリス・オン・ミュージックを読む」第13回

第13回:鑑賞の手引き (141ページ) 第1章 思わず足踏みをするのはなぜだろう:リズムについて 「くるみ割り人形」組曲 ピョートル・イリイッチ・チャイコフスキー作曲 デューク・エリントン、ビリー・ストレイホーン編曲 チャイコフスキーが「くるみ割り人…

「マルサリス・オン・ミュージックを読む」第12回

第12回:第3章 スーザからサッチモへ:吹奏楽とジャズバンド (103ページ) インプロバイゼーション ラグ、ラグタイム、そしてスーザが確立した吹奏楽の演奏スタイルは、全て、大体1895年ころにニューオーリンズで出会い、そこで今日言う処の、ジャズを形作…

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第11回

第11回:第3章 スーザからサッチモへ:吹奏楽とジャズバンド (93ページ) ジョン・フィリップ・スーザ作曲の行進曲「星条旗よ永遠なれ」。吹奏楽の為に書かれた作品だ。アメリカでは、行進曲と言えば、主に兵隊さん達が隊列を組んで足並みをそろえて行進す…

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第10回

第10回:第4章 正体不明の、でもイヤなことに、敢えて立ち向かおう:練習することについて (語句と文法:数字は行数) Number 1. Seek out private instruction (123ページ) A good instructor will help you understand the purpose of the exercise you …

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第9回

第9回:第4章 正体不明の、でもイヤなことに、敢えて立ち向かおう:練習することについて さて、ここまでこの本では、異なるタイプの色々な音楽が、お互いどの様に関連性があるかを詳しく見てきたね。ここからは、音楽でのトレーニングが、他の物事に取り組…

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第8回

第8回:第2章 聴きどころを逃さずに:形式について (77ページ) コーラスフォーマット 音楽の形式を聴き取るポイントを、この章では学んでいるよ。で、この章の初めの処で、ジャズでは演奏の中身がコロコロ変わり続ける、と言ったよね。つまり、色々なこと…

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第7回

第7回:第2章 聴きどころを逃さずに:形式について (67ページ) 展開部 次は展開部。ここれは二つの主題が、文字通り、放り投げられ、ひっくり返され、ひねられることで様々な形や調に変えられてゆく。面白くなってくるし、その分ややこしくもなってくる。…

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第6回

第6回:第2章 聴きどころを逃さずに:形式について (62ページ) これを実際どうするのか、メイン主題で見てゆこう。メイン主題は四小節間、バイオリンで演奏される。譜面を見て分かる通り、この主題の最後二小節のところで、メロディは上下する(譜例6a)。…

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第5回

第5回:第2章 聴きどころを逃さずに:形式について (55ページ) 僕がジャズとクラシックの両方を演奏するんだ、というと、決まって言われること「そういうジャンルの音楽って、聴くのが辛いんだよね。あ、誤解するなよ。色々と良いものなんだろうけどさ、何…

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第4回

第4回:第1章38ページから (38ページ) 基本リズム ここまで、音符が踊る、とか、ステップを踏む、とか、そんなようなことを見てきたね。実際「くるみ割り人形」組曲は、バレエだ。つまりこの曲に合わせて人が踊るってこと。よく「このビートは踊っちゃうよ…

「マルサリスオンミュージック」を読む 第3回

第3回:第1章32ページから38ページまで (32ページ) さて、行進やらスキップやら、弾む、飛ぶ、くすぐる、そういったことが全部わかったこ処で、次はこれらをどんな速さでやろうか、ということを見てゆきたいと思う。拍と休符が出てくるスピードのことを、…

「マルサリスオンミュージック」を読む 第2回

第2回:第1章24ページから32ページまで (24ページ) メリハリ(アクセント、休符、間) リズムのあるものを探そうと思ったら、あちこち外を見る必要はない。僕達は、体の中にリズムマシーンを抱えて生きているからね。何だかわかるよね。そう、心臓だ。そし…

「マルサリスオンミュージック」を読む 第1回

ウィントン・マルサリスの名著「Marsalis On Music」を読んでゆきます。アメリカの、音楽を学ぶ子供達の為に書かれたこの本の献呈の辞は次のようになっています。 For all those who continue the struggle to educate youngsters in music. 音楽で若い人達…