英日対訳ミュージシャンの本

ミュージシャンの書いた本を英日対訳で見てゆきます。

「マルサリス・オン・ミュージック」を読む 第16回 楽譜に起こすこととインプロバイズすることの違い

第16回:譜面通りに演奏するよう楽譜を作ることそしてインプロバイズすること 

 

(158ージ) 

 

クラシック音楽作曲者が譜面に書いたとおりに演奏される。ジャズ音楽は、演奏者がインプロバイズ、つまり、演奏しながら曲を作ってゆく」こんな風に思っている人もいます。でも実際は、インプロバイゼーションを用いる音楽は、ジャズ以外にも沢山あります。その中にはクラシック音楽もあり、バロック音楽などがそれにあたります。一方、ジャズにしても、作曲した人が書いたものを見て、それをインプロバイズする、というのが普通のやり方です。 

 

(語句・文法の要点:数字は行数) 

4.Actually, many kinds of music use improvisation, including the kind of classical music known as Baroque music, and jazz musicians usually improvise on something a composer has written down実際は多くの種類の音楽がインプロバイゼーションを使うそこにはバロック音楽として知られているクラシック音楽の種類もある。そしてジャズミュージシャン達は大抵作曲者が紙に書いたものを基にインプロバイズする;分詞構文(including) 過去分詞(known) 関係詞・省略(something [that] a composer) 現在完了(has written down) 

 

この二つの音楽の作り方の、違う点と、関連する点を、それぞれ学ぶ遊びをしてみましょう。最低二人以上で行います。それぞれ予め、紙を一枚と、思い思いのお絵かき道具を用意してください。 

 

(語句・文法の要点:数字は行数) 

Here's a game you can play to learn the difference and connections between these two ways of making musicここに音楽を作るこれら二つの方法の違いと関連性を学ぶために遊ぶゲームがある:関係詞・省略(a game [that] you can) 不定詞(to learn) 動名詞(making) 

 

この遊びは、三つのラウンドがあります。第1ラウンドでは、参加者全員が「作曲家」となります。作曲家と言えば、楽譜を書くことで、人物や場所、人の気持ちや気分、あるいは何かの状況を音にして描いてゆきます。そういった描くものがピッタリくるように、作曲家は、曲の主題となるフレーズと曲全体の枠組みを、まずは創り出し、それらを発展させてゆきます。のばし広げたり、ひっくり返したり、ある音符を長くして別の音符を短くしたり、スピードを速くしたり遅くしたり、意外性のあるやり方で繰り返してみたり、などとするわけです。それらは、作曲家の個性を反映しています。 

 

(語句・文法の要点:数字は行数) 

17.The composer invents a theme and structure to fit that idea, and then develops them by stretching them out and turning them around, making certain notes long and certain ones short, making some fast and some slow, and repeating things in unusual ways作曲者はそのアイデアをフィットさせるための主題や仕組みを創り出すそしたらそれらを伸ばしたりひっくり返したり、いくつかの音符を長くしたり短くしたり、速くしたり遅くしたり、物事を普通ではない方法で繰り返したりすることで発展させる:不定詞(to fit) 動名詞(by stretching turning making repeating) make+O+C(making notes long)  

 

この遊びでは、音や音符の代わりに、絵を使って、同じことをやってみます。描くものを思いついたら、それを描くにあたっては、まず最初に、出来る限り最もシンプルな描き方をします。家、船、飛行機、人物、動物、山、何でも結構です。さてこれで、作曲家がするように、基本的な主題と仕組みができましたね。本来のお絵かきでしたら、もし誰にも手を入れられたくなかったら、全部一人で形を変えたり飾りつけをしたりするところですが、今は、インプロバイゼーションを体験する遊びですので、第2ラウンドへ進みましょう。 

 

(語句・文法の要点:数字は行数) 

[p.159,2]If you didn't want to allow for any improvisation, you could develop that theme and structure all by yourselfもし君がいかなる創意工夫も許したくなかったら、君はすべて自分でその主題と仕組みを発展させることが出来る:仮定法過去(If you didn't you could) 不定詞(to allow) 

 

第1ラウンドを終える時に、他の参加者と紙を交換します。今度はいよいよ、他の人が描いた主題と骨組みに、インプロバイズを加えてゆきます。さてここで、インプロバイゼーションの三つのポイントを押さえておきましょう。 

 

1.その場の思い付きで仕上げてゆきます。会話で発する言葉と同じようにね。 

 

2.持ち合わせているお絵かき道具を、何でも使って仕上げてゆきます。冷蔵庫に在る食材を漁って、サンドイッチを作るのと同じようにね。音楽だと、自分が高い声を出せるなら高い音で、低い声を出せるなら低い声でね。 

 

3.自分の思いや個性を、作るものに込めてゆきます。人それぞれ、方法は異なるわけですからね。 

 

(語句・文法の要点:数字は行数) 

11.Use whatever is available in making that something, like a sandwich you create out of whatever is in the refrigerator at the momentその何かを作る上で手に入るものは何でも使え。それはその時冷蔵庫の中にあるものを何でも使って君が作り出すサンドイッチの様なものだ:関係詞(whatever) 動名詞(making) 関係詞・省略(a sandwich [that] you)  

次に第2ラウンドです。渡された紙に家の絵が描かれているなら、その周りに庭を描き足そうかな、とか、新たに色を塗ろうかな、とか考えると思います。自分の好きなようにして良いわけですが、ただし、与えられたものの範囲の中だけに限ります。つまり、紙に描かれているものと、その基本的な姿は変えないこと。そして、手元にある道具しか使ってはいけません。色を塗るために、クレヨンとか絵具といったようなものを、その時持ち合わせていないなら、色を塗ってはいけません。 

 

(語句・文法の要点:数字は行数) 

21.That means stick to the theme and structure you've been given, and use whatever tools you have at your disposalそれは君が与えられている主題と構造から離れず、君が自由に使える範囲で持っている道具は何でも使え、ということを意味している:関係詞・省略(structure [that] you) 現在完了(you've been given) 関係詞(whatever) 

 

最後に、第3ラウンドです。自分が最初に描いた紙を返してもらい、相手の人がどうインプロバイズしたか見てみましょう。相手のインプロバイズが気に入ったなら、良かったですね、そのグループなら作曲家とその作品をインプロバイズする演奏者の集まり、として、楽しくやって行けることでしょう。 

 

(語句・文法の要点:数字は行数) 

27.If you like what the other person has done, you join the small group of composers lucky enough to like what musicians have done to their musicもし君が他の人がしたことを気に入るなら君は作曲者の集団に入り演奏者たちが彼らの作った音楽をいじる内容を好むことが出来る位幸運だ:関係詞(what) 現在完了(has done have done) C+enough+不定(lucky enough to like)  

 

次回、第17回は、音楽用語集の部分を少々趣向を変えてみてゆきます原書を予習しておいてください。