英日対訳ミュージシャンの本

ミュージシャンの書いた本を英日対訳で見てゆきます。

英日対訳:偉大な霊よ(by Yellow Lark) キース・ジャレット家の台所メモ (for May 8th)

“O Great Spirit,”

― translated into English by the chief of the Sioux Yellow Lark

インディアン「スー族」の酋長・イエローラーク(黄色いヒバリ)の有名な「偉大な霊(たましい)よ」の英語訳です。キース・ジャレット家の台所メモとして、大切に貼ってあるとのことです。拙訳ですが、原文の背景をよく調べて、訳してみました。キース・ジャレットの受けたインスピレーションをご想像下さい。

 

O Great Spirit, 

whose voice I hear in the winds  

and whose breath gives life to all the world, 

hear me! I am small and weak, I need your strength and wisdom. 

Let me walk in beauty, and make my eyes ever behold the red and purple sunset. 

Make my hands respect the things you have made and my ears sharp to hear your voice. 

Make me wise so that I may understand the things you have taught to my people. 

Let me learn the lessons you have hidden in every leaf and rock. 

I seek strength, not to be greater than my brother, but to fight my greatest enemy - myself. 

Make me always ready to come to you with clean hands and straight eyes. 

So when life fades, as the fading sunset, 

my spirit may come to you without shame. 

 

偉大な霊(たましい)よ 

あなたの声は、吹く風の中に聞こえる 

あなたの吐息は、この世の全てに命を与える 

さあ今度は、私の言葉を聞いてほしい、私は、ちっぽけで心許ないから 

あなたの、力と賢さが必要なのだ。 

調和の取れた美しい世界を、ずっと歩いて行けますように 

そんな世界ゆえの紫紅の夕焼けを、ずっと見つめていられますように。 

あなたの創ってくれたものの有り難みを、私の両手が理解し、 

あなたの声を一つ残らず、私の両耳が聞き取れますように。 

あなたが我ら人類に教えてきたことを、 

私の頭が理解できるよう、賢くなれますように。 

あなたが、草葉の陰や石ころの隙間へ、そっと忍ばせた大切な教えに 

私が気づいて、それを自分のモノにできますように。 

「力が必要」と言ったが、それは他人に勝ちたいからではない、 

「自分自身」という、最悪の敵に勝ちたいからだ。 

あなたに、何時、何処で出会うことがあっても良いように、 

私の手は両方とも、常に汚れなく 

私の瞳は両方とも、常に迷いなく、在れますように。 

そうすれば、いつの日か 

夕日が地平線から消えゆくように、私がこの世から消えゆく時、 

私の霊(たましい)は、堂々胸を張って、あなたの傍らに行ける。 

【訳注:「紫紅の夕焼け」は、アメリカ西部の美麗の象徴】